*1先日のRegional SCRUM GATHERING Tokyo 2017で宣伝されていた「Joy, Inc.」日本語版を読んだ。
この本の趣旨と翻訳に至った経緯は以下のように記されている。
Ref: 【17-B-7】 『ジョイ・インク』Joy, Inc. 〜 共感のソフトウェアづくりについてみんなで考えるワークショップ | Developers Summit 2017
“Joy, Inc.: How We Built a Workplace People Love”(2015年刊行) は、アメリカ、ミネソタ州にあるソフトウェア受託開発企業メンロー・イノベーションズ社の15年にわたるモノづくり、人づくり、顧客との関係づくりの詳細をまとめた本です。そこには2000年代初頭にアジャイル開発(特にXP)とデザイン思考に出会った人々が、苦労を重ねながら優れた組織とプロセスを作り上げる過程と、行なっている優れたプラクティスについて語られています。そして、2016年12月に、原著に共感したアジャイルコーチが集まって、日本語翻訳版『ジョイ・インク』を刊行しました。
XPやアジャイル開発のことを知っている人であれば、すんなり読むことができると思う。その考えを経営・会社作りにも適用してるというもの。川鍋さんのアツいあとがきに書いてある「アジャイル経営」という言葉がとてもしっくりくる。
失敗したことやうまくいかなかったことも多く書かれていて、とても共感が持てる。またメンローという会社はシリコンバレーにあるエッジの効いたハイテクカンパニーというわけでもない。決して手の届かないどこか遠い話ではなく、自分ごとのように身近に感じることができた。
- エンジニアだけでなく経営メンバーなど色んなひとに読んでもらいたい
- 一緒に喜びに満ちた会社を作っていきたい
そう思える一冊でした。会社の本棚に置いておこうと思う。
合わせて読みたい
読書メモ
イントロダクション
- 喜びと幸せは同じではない
- 幸せとはある時点における状態の話
- 幸せな状態が連続していなくても、喜びに満ちていられる
- 根本的で本能に根ざした追求心は喜びに向かう
1章 僕が喜び(Joy)にたどり着くまで
2章 スペースとノイズ
- 壁を取り払え
- フィクションから得た「身軽」というひらめき
- C?Oはどこにいる
- オフィス警察はいらない
- 自分たちの場所はオーナーシップを持って自分たちの望む場所に変えていく
- 喜びは騒がしい
3章 自由に学ぶ
4章 会話・儀式・道具
5章 インタビュー、採用、立ち上げ
- 「正しい人をバスに乗せ、正しくない人をバスから降ろす」
- 採用はカルチャーに直結するから、とことんこだわりたい
- 長期間のトライアルは実際に仕事を一緒にできるから有効
- コスト大きい & 情がうまれてしまって採用判断が難しそう
6章 観察のもつ力
- ハイテク人類学をソフトウェアに適用
- グループインタビューは人格が破綻した人に乗っ取られてしまう
- そもそもユーザーは自分が本当に欲しいものを知らない
- プライナリペルソナ(1人だけ)を設定する
- 誰にとっても役立つようなサービスは誰からも使ってもらえない
- 百徳ナイフにするな
7章 恐れと戦う、変化を抱擁する
- すばやくたくさん失敗しよう
- サンクコストによる思考停止
- こんなに投資してきたんだから
- うまくいかないことをやろうとした奴らと思われたくない
- 実験が失敗だとわかっても、コースを変更したがらない。これまでの投資が無駄だったと認めたくない
- 心理的安全性
- SQUEEZEもオフィスに赤ちゃんいるけど、とてもよい試みだと感じる
8章 ボスではなくリーダーを育てる
- みんな完璧ではないことを認めなくてはいけない
- 何か問題があった場合に、すぐ晒け出される仕組みが大事
- 『ビジョナリーカンパニー』からの引用多い
9章 カオスを終わらせる、曖昧さをなくす
- 見積もりなしに仕事はしない
- やること/やらないことを明確に
- 複雑なプロジェクトのためのシンプルなシステム
- ショッキングピンク判断
10章 厳格、規律、品質
- 厳格さと規律が品質を保つ
- 厳格さと規律はルーティンをもたらす
- 一流はルーティンを大切にして、身体だけでなく魂を傾ける
- 二流は表面的には従うが、信じてはいない
11章 持続可能性と柔軟性
- 卓球台・ゲーム機・マッサージチェア
- こういったの置いてるのは遊び心ある会社ですよっていうパフォーマンスでしかないよね
- 確かにほとんど使ってないイメージ
- 低い離職率は健全な文化の証ではない
- 出戻り推奨
- 「許可を求める」という文化はいけてない
12章 スケーラビリティ
- ブルックスの法則
遅れているソフトウェアプロジェクトへの要因追加は、さらにプロジェクトを遅らせるだけだ
- ペアプロのメリットはわかるが...
13章 説明責任と結果
- かかった時間とベロシティの測定が見積もりの正確さにつながる
- 自由さの報酬としての説明責任
14章 アライメント
- 文化を隠すな
- 自分たちのストーリーを話せるようにする
15章 問題
- メンローにも他のところと同じ問題を抱えている
- 問題の数は他と変わらないが、問題のサイズはだいぶ小さい
- 問題が見つかれば隠さないで、小さいうちに解決
- 会社の問題を気軽に議論にあげられる場と仕組みを作りたい
16章 まとめ
- どんな組織にもビジョンが必要だ
- Whyを見つけよう
推薦者あとがき
- 川鍋さんアツい
- 文化が一番大事
- 素早くたくさん失敗する
- 見える化・情報の共有文化
- 社員も顧客も文化を第一に選び・信じきる
- たくさんの失敗を奨励するには、きちんとした評価制度が必要と感じた