- 作者: 木下是雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1981/09/22
- メディア: 新書
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読んだ動機
- 技術文書を書く機会をいただいた
- @terapyonと@takanoryがすごくお薦めしていた
- ずっと読まなきゃと思いながら積ん読してたけど、いざ原稿のレビューで論理構成などの指摘を受けると「これはやばい」と感じて慌てて読んだ
悩んでいたこと
自分が文書を書いていて悩んでいたことや、レビューで指摘してもらったことに以下の点があった。
- 読者に伝えたいことがぶれる
- 「文章を区切りすぎるとMarkdown・Qiitaっぽい感じになってよくないのでは」という不安から、冗長な修飾節をいれてしまう
勉強になったこと
目標規定文
準備作業を無視して、いきなり書き始めるところに、多くの失敗の原因があると述べられている。
この準備作業のひとつに目標規定文の設定がある。
自分は何を目標としてその文書を書くのか、そこで何を主張しようとするのかを熟考して、それを一つの文にまとめて書いてみる
この文が目標規定文である。目標規定文が決まったら、そこに収束するように文章全体の構想を練ることで一貫した文章を書くことができる。
目標規定文の例として、以下の文章が紹介されている。
このレポートでは、ランダムな変動を考慮に入れても、1970年代にはいってからは春がくるのがおくれ、また春が寒くなりつつあることを示す。
読者に伝えたいことがぶれていた原因は、この目標規定文を設定・意識できていなかったためだと感じた。これからは文章を書き始める前に、準備をしっかり行いたいと思う。
文の構造と文章の流れ
英語の論文では、
(a) 逆茂木型の文章を書いてはいけない
(b) 少々くどいと思っても論理の鎖の環をはぶいてはいけない
という。
逆茂木型の文章とは
- 文の相互の連関がパラグラフ全体を読んだあとではじめてわかるような文章
- 論述のわき道にいることがその話が終わってからでないとわからない文章
のような論理構成が明確ではない文章のことである。
日本語の文では、(a)の要求を完全にみたすことに多少の無理がある。また、(b)に忠実にしたがうと在来の日本語の文章のゆかしさをそこなう場合がある。しかし、理科系の仕事の文章は、(a), (b)の要請をみたすように書くべきだと本書では述べられている。
この指摘にしたがって、変な心配はせずに冗長で不必要な表現は可能な限り削っていこうと思う。書いた後に読み返してみて自分でも「ちょっと変かもしれないけど、まあいいか」という文章は、だいたいレビューで指摘されているので、もっと自分に厳しくチェックしていかないといけない。
おわりに
「理科系の作文技術」を読んで、文章の論理構成という面がとても勉強になった。論文のようなアカデミックな文書を意識している内容もあるのですべてを読む必要はないと思うが(特に9章以降)、作文の基本を教えてくれるとても良い本だった。
@terapyonからもう一冊ロジカル・ライティングという本を借りているので、次はこっちを読んでみようと思う。
ロジカル・ライティング (BEST SOLUTION―LOGICAL COMMUNICATION SKILL TRAINING)
- 作者: 照屋華子
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2006/03/24
- メディア: 単行本
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読書メモ
2章 準備作業(立案)
2.1 準備作業の必要
- 理科系の仕事の文書に関しても、準備作業が必要
- それを無視して、いきなり書き始めるところに、多くの失敗の原因がある
2.2 文書の役割の確認
- 自分の書こうとする文書の役割を確認することが第一の前提
- いったい読者はこの文書に何を期待しているはずか
2.5 材料あつめ
- 思いつくままのメモ
- 図・表
- フリーハンドの図で十分
3章 文章の組み立て
3.2 序論
- 序論の使命は読者を本論にさそいこむ、読者が抵抗なく本論にはいっていけるように準備をととのえることにある
- 読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示し
- 目標規定文を第1文としてOK
- またほんとんにかかる前に必要な予備知識を読者に提供する
- 本論の主題となる問題は何か
- その問題をなぜ取り上げたか
- その問題がなぜ重要か
- 問題の背景はどんなものか
- どういう手段によってその問題を攻めようとするのか
- 読者が本論を読むべきか否かを敏速・的確に判断するための材料を示し
- 序論はみじかく、みじかくと心がけて書くべき
3.3 結び
- いちど書いたことは再びくりかえさず、どうしても必要なことだけを書き終わった途端に文章が終わるのが通例になってきた
- 現代的重点先行主義
- 「なくてもすむことばは一つ残らず削れ」
- 客観主義
6章 はっきり言い切る姿勢
- 「であろう」「と思われる」「と考えられる」などのあいまいな、責任回避的な表現は避けて、「自分は・・・と思う」「・・・と考える」と書くべき
8章 わかりやすく簡潔な表現
8.1 文は短く
- まず、書きたいことを一つ一つ短い文にまとめる
- それらを論理的にきちっとつなげていく
- いつでも「その文の中では何が主語か」をはっきり意識して書く
- 主語を文字に書き表すことはかならずしも必要ではない
- しかしいつも明確に意識していなければならない