エンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリング
- 作者: 広木大地
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/02/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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動機
- 去年話題になった本で流し読みしたままだったけど、最近組織について考えることがあったので改めて読み直してみた
- 同僚がこの本で紹介されている認知の歪みを社内LTで話していてためになった
感想
Chapter 1の「思考のリファクタリング」がなんといってもこの本の醍醐味だと思う。誰にでも刺さる内容だし、頭ではわかっていても実践できていないことがよくあるのでいつ読んでも新しい発見がある。
不確実性にまつわる以下の言葉は、チーム開発をするうえで胸に刻んでおきたい。
- "不確実性の発生源は「未来」と「他人」"
- "不確実性を下げるには、情報を生み出すこと"
- "エンジニアリングの本質は「不確実性の削減」である"
ちょっと昔にゲス極で『私以外私じゃないの』という曲があって、当時は「なに当たり前のこと言ってんねん」としか思わなかったけどこの本を読んだあとは深い歌詞だなぁと思えて不思議。
あと次の2つは大学生のときに習ったスポーツ心理学でも同じことが言われていた。
個人的にスポーツ(部活)と仕事を結びつけるのは、根性論とか青春を叫ぶ人がいて苦手なんだけど、思考法・心理学の面では確かに役立つことが多いなあと思い直すことができてよかった。
読書メモ
Chapter 1 思考のリファクタリング
- エンジニアリング
- 「曖昧さ」を減らし、「具体性・明確さ」を増やす行為
- 不確実性の発生源
- 「未来」と「他人」
- 「不確実性を下げること」は、「情報を生み出すこと」
- エンジニアリングの本質が、「不確実性の削減」である
- 要求仕様、実現手段が確実であるという状態は決してありえない理想
- 他人が介在する問題について、私たちは感情的にならざるを得ない生き物
- 「私以外私じゃないの」問題
- どんなに自分が正論だと思っていることも、その人自身の世界の中で認識できる範囲の中での正論にすぎず、正解ではない
- 自分は論理的でなくなる可能性があり、人が論理的でなくなる可能性があるのかを知った上で問題解決に臨む
- 事実はありのまま、ただあるだけ
- 「雨が降った」は事実
- 憂鬱な思いがしたり、いらだったりするのは認知
- 認知の歪み
- ゼロイチ思考
- 一般化のしすぎ
- すべき思考
- 選択的注目(心のフィルター)
- レッテル貼り
- 結論の飛躍
- 感情の理由づけ
- 認知的不協和
- 怒りは、知的な能力を使って、危機を乗り越えようとしている状態
- 怒ってる人は、「私は怒っていない。論理的に考えている」と思う
- 「怒り」が発生しているそのときは「自分」ないし「自分の大切にしているもの」に被害が及びそうだと感じている、ということ
- 「怒り」を感じたときは、同時に「何が大事なのか」を知るとき
- 怒りを感じたときには、「それは自分にとって大事なことで、その発言は大事なものをぞんざいに扱われたようで悲しい」と伝える
- 自分は論理的に考えることができていると思い込むことこそが、非論理的な思考を生み出す元になる
- 未来は市場は「不確実性」で満ちているから、人には決して予測できない
- この「不確実性」を確実なものにするには、行動して確かめる以外の方法はない < 経験主義
- 今わからないということ自体が、次の一手への重大なヒント
- 「コントロールできないもの」をコントロールしようとして、ストレスを感じてしまう
- コントロール可能因子を冷静に判断する
- 「観測できないものは制御できない」
- 「コントロールできるもの」を操作し、そして、「観測できること」を通じて、その結果を知識にするだけ
- 自分自身の認知の歪みをパターンとして記憶することで、自分自身の過ちに気が付きやすくする