- 作者: 谷原誠
- 出版社/メーカー: 文響社
- 発売日: 2017/11/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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動機
- 仕事でもプライベートでも交渉が全然だめだと思わされる出来事があった
- 相手が嫌な思いをしないような伝え方を勉強したかった
感想
人間は論理ではなく感情で動くということを改めて認識させられる。弁護士として色々な交渉にあたってきた具体例を交えつつ説明してくれるので、読みやすくすっと理解できる内容だった。
イエスを引き出すには、感情的にならず、相手をよく理解し、自尊心を傷つけないようにすることが大事だと繰り返し述べられている。頭では理解できたけど実践がなかなか難しいので、この本を定期的に読み返そうと思う。
人を動かすや影響力の武器など有名な本からの引用が数多くあったので、次はこの2冊を読んでいきたい。
読書メモ
第一章 イエスを引き出すためのマインドセット
- テクニックが先行するわけではない
- まず、相手を知ること
- 何を実現したいのかを考え、必ずしもイエスを引き出すことにだけを執着しないことが大切
- 目先の利益を優先しない
- 伝書鳩にならない
- 人を動かすことは手段であって、目的ではない
- イエスを引き出すには本当の問題を明らかにすること
- 「家を買うか、買わないか」というお互いの立場を守る戦いは意味がない
- 解決すべき問題を明らかにする作業が不可欠
- 相手にイエスと言わせる権利は自分にはない。イエスと言う権利は、100%相手が持っている。
- 相手にイエスと言わせるには、相手の脳にフォーカスしないといけない。
- 相手の立場に立って考える。相手になりきり、相手に乗り移って、今の状況を感じ、考えてみる。
- 決して勝者と敗者を決める目的のために行われるものではない。
- 相手のニーズを満たすことで、自分のニーズを満たす
第二章 質問すれば、「イエス」が得られる
- 人間は自尊心のかたまり。他人から言われたことには従いたくないが、自分で思いついたことには喜んで従う。
- 人を動かすには命令してはいけない。
- 相手に「イエス」を言ってもらうためのキホンは、結論を押しつけない
- 人は質問されると、その質問の内容について考えざるを得なくなる
- 拒絶されたら、すぐに質問を
- 怒れるときは十数えよ。怒りがさらに甚だしいときは、百数えよ。
- 感情に引きづられて、目標を見失ってはいけない
- 相手の感情的な言葉を、理性のレベルに落とし込んで、話し合いの余地があるところまで持っていく
- 相手は、自分のことが正しいと確信している、という前提で接する
- 一言目で、反発する言葉、追求する言葉、感情的な言葉を返さない
第三章 お互いの問題を同時に解決すれば「イエス」を引き出せる
- 物事は、二者択一で済むほど単純ではない
- 二者択一よりも、お互いにとってメリットのある第三、第四の解決策が見つかる
- 異次元取引 - 自分がそれほど負担なく提供できるものであり、かつ、相手にとって価値あるもの
- 否定したことを「拒絶」と受け取らない
- 「拒絶」ではなく、「助言」「アドバイス」と受け取る
- 「xxxがだめだ!」=>「xxxさえ解決すればOK」
- 相手が要求してきたときが、最もこちらの要求を通しやすい
- 相手をよく知ることが重要であり、よく質問することが大切
第四章 「イエス」と言うか言わないかは感情が決めている
- 人は叩かれたり、踏みつけられたりすると、自尊心が傷つき、それに反発しようとする
- 相手が自分をないがしろにしているのではないか、自分だけ得をしようと思っているのではないか、といった感情が邪魔をする
- 核心の話をする前に、感情から出る言葉をクッションとして入れる
- 「私は、私とあなた、双方ともが満足いく合意を望んでおり、そのために努力している」
- 「御社にとっては、この条件が大切だと思いますので、こうしましょう」
- とくに家族や友人などには、改めてそういった言葉を入れなくてもわかってもらえるだろう、という期待がある
- 「自分に話さずに進めるということは、私を軽んじている」と感じて、自尊心が傷つく
- 「私は聞いていない」状態
- ラベリングテクニック
- 最強のイエス・ウエポン1「好意」
- 相手に好意を抱く
- 相手に好意を抱くための手っ取り早い方法は、自分に質問すること
- 「私に欠けていて、この人が持っている優れたところは、どんなところだろう?」
- 尊敬できる部分を探す
- 自分に強制的に相手のいいところを考えさせるため、自分に質問する
- 共通点を持つ
- 称賛する
- 好意的な評価は、それが事実であっても、そうでなくても、称賛を言う人に対して好意を抱かせた
- 何度も会った方がよい(単純接触効果)
- おいしいものを一緒に食べるなど、相手が気持ちのよい時に一緒にいる方がよい(連合)
- 最強のイエス・ウエポン2「信頼」
- 人間は、自分の行動を自己正当化してしまう生き物
- 自己正当化して自尊心を守ろうとする
- 行動を変えてもらうことが目的なのであれば、わざわざ自尊心を傷つける必要はない。むしろ、相手の自尊心に配慮することが必要
- 相手の今までの行動を肯定する => 別の理由で変化を依頼する => 変化後の行動を称賛する
- 相手に比べて自分の能力が低いと伝えたり、卑下したりすることは、相手の自尊心を満たすのに有効な方法
- 「私の力ではとてもできないから助けて欲しい」
- 「あなたにしかできない」
- 交渉がまとまるということは、双方が合意をするということ
- 喧嘩のように、一方が勝ち、他方が敗れ去るというものではない
- 優しい言葉で説得するのが理想的
- 相手を感情的にしないためには「人格」に言及しないこと
- 相手に聞く耳を持ってもらうためには、まず相手が言いたいことを全て言い切った状態にすることが重要
- おだやかな表情で、全部の話を聞く姿勢を見せ、相手の言葉に相槌を打ちながら耳を傾ける
- すぐには反論しない
- 「優しい言葉で相手を征服できないような人は、きつい言葉でも征服はできない」
- ポジティブカウンター
- 相手の意見をひとまず認め「 だからこそ、よいのです」という形で展開するのが基本